マイクプリについてそんなに高価なものではないにせよ、過去から多く使ってきた。これまで使ってきた単体プリアンプは下記になる。
Focusrite Voice Master、Focusrite ISA ONE、Rupert Neve Design Portico5017、Focusrite ISA220、SSL α-channel、BAE Audio DMP、AMEK 9098 DMA、TL Audio Fat Man。
FatManは少し異なるタイプだが、その他はニーブ系やSSL系かになる。使っていた結果としては、違いはあるにせよ、どれも使える音ではあった。
では現実的にもう一度手に入れるとすれば、Portico5017とAMEK 9098を選ぶだろう。双方ともSSLと異なる方向性であるためと言える。Portico5017は現代的なニーブだと言われるがSILKスイッチを入れると明らかに倍音が増えて前に出てきて音楽的になる。AMEK 9098はニーブ系とは言え少し違っていて、明るい出音で存在感がある。
さて本題のBIG SIXのプリであるが、ベース録りやTLM49での試し録りにこの期に及んで真面目に使ってみたが、思った以上にかなり良いのである。
以前 α-channelを使った時にはレンジが広すぎて締まらない印象が強かった。BIG SIXのプリの構造とどこが異なるのか詳細は知らないが、α-channelとは明らかに傾向が異なる。総合的な評価としてBIG SIXのプリは明瞭で音の輪郭がわかりやすくクリアな印象。TML49でもマイク本来のフラットな音でクセを感じない。これが嫌かどうかは好みであるが使える音である。
今回パッシブベースでも使ってみたが、音は思った以上に太目。
チャネルEQはHI,MID,LOの3バンドでHIとLOはシェルビングとベルカーブの切り替えが可能。MIDは700Hz、HIは5K、LOが200Hzに固定されているが、確かに使いやすい帯域に設定されているため、録り音も多少の作りこみができる。
チャンネルコンプはレシオ2:1固定、アタックタイムは8~30msで自動、リリース300ms固定であるためスレッショルドだけが+10~-20dbで調整できるだけである。
レシオ2:1で固定であり、やや軽めの設定となっているが、印象としては良く効くので、ベースなどダイナミクスの大きな楽器では、スレッショルドが+10でも効きすぎる印象。ボーカル録りにはノイズも少ないため、録り時にはコンプ無しでも問題ないと感じている。チャネルインサートがあるので外部コンプを間に挟むのもアリだが余計な回路を通さないことも一つの正解でもある。この辺りは好みで判断すればいいのではないか?
結論として何も刺さずそのまま録って、後で音作りするのが今のスタイルとなっている。これまであまり詰めて使っていなかったが、以前に試したことのあるSSL 2のプリよりさすがに良い。(価格も違うが) 4chあるのも意外と便利である。
BIG SIXも最近値段が上がって44万円くらいになったが、コスパは高い機材だと言える。
まだ1年ちょっとで耐久性までわからないが、耐久性とメンテナンス体制が気になるところである。