さて前回仕様について触れたが、実際の音はどうなんだろう?
Neumann TML49マイクを接続して試してみた。TML49は割とフラットで上も下も抑えぎみでどちらかというと素直な音である。
SSL BIG SIXのスーパーアナログマイクプリとの比較になるが音を出してすぐにわかるほどの違いである。まず音像が大きくなる。SSLもクリアで悪く素直な良い音であるが、511はそれを一回り広げたような音像なのだ。
ハイパスフィルターもちょうど良い塩梅で効くため、仮に間違った使い方をしても後で後悔するほどの影響も出にくいだろう。(まあそんなことはないだろう)
TLM49自体にはローカットがついていないため使えるかとは思うが、TLM49自体ローが膨らみすぎたりしないため、使わなくても問題ないように感じた。
さてこのプリの醍醐味であるSILKをオンにし、TEXTUREノブを回すとミッドハイあたりの倍音が明らかに増えてきて、よく言われるシルキーなサウンドに変化する。これはなかなか実感しないとわからないが、良い意味で平凡なTLM49の音が感動的に良い音を思えるように変化した。SILKには2種あって上位のシェルフォードチャネルにはブルーとレッドの切り替えができてブルーが低域、レッドが高域に作用するようだ。
ちなみに511にはレッドだけ搭載されている。TEXTUREノブで効果が可変できるのだが、仮に最大にしても、やや誇張し過ぎ感はあっても音楽的には破綻しない。
個人的には半分までで使えばちょうどいいかと思っているが、フルにすればどんな効果なのか覿面である。
フラットなTLM49に艶っぽさを与えると言っても過言じゃない。
SSLプリならEQを使いたくなったが、このプリならノーEQで録れるだろう。
しかも録り音も良いため、後の作業がかなり軽減できる。
以前使っていた5017(517と同じ仕様)では、SILKボタンはあってもTEXTUREがなく、調整できなかったのもあるが、当時のTLM103+5017より明らかに良い音だと実感している。
これまでAMEKやBAEを使ったが、正直なところ良いのはわかるが、そこまで感動は覚えなかった。OLD NEVEの音を知らないため本来のNEVEサウンドの良さが理解できていないのが理由なのかもしれないが、機材が進化する中でNEVE氏が人生最後に設計したプリアンプの一つなのだから今の時代も考えてバージョンアップしているのだろうし、良いのは当然なのかもしれない。ここまで来たらやはりコンプもダイオードコンプPostico535に興味が言ってしまんだよな。