ちょうど3年前にSSL BIG SIXをイケベ楽器に発注したようだ。それから届くまで1ヶ月以上かかってはいるが、今も現役としてメインで使っている。
使い始めて3年近くとなり、ほぼ毎日通電して使っているが、現状特に不具合は発生していないことから考えると、それなりに頑丈なのかもしれない。
BIG SIXを3年使った上で改めて現状をレビューしてみた。
①総合的にみて
・今となっては手放せないツールとなっている。MAC OSとの相性も良く安定している。スリープして復帰した際に接続が解除されることはあるが、BIG SIXの電源を入れなおせばすぐに認識する。
・現在はちゃんと制作する際にサミングするのがデフォルトになっているので、BIG SIXでの作業が前提となっている。
②マイクプリ
・SuperAnalogueマイクプリは至ってクリアで素直だが適度な押し出し感もあるためちゃんと使える。DIとしても素直な出音なのでミッドクラスのインターフェイスのプリよりも使える音である。
・これが4系統あるのは嬉しいことだが、同時に2チャンネル以上は使ったことがないので今の制作スタイルではオーバースペックなのかもしれない。
③チャンネル数
・1~4がモノ、5-6,7-8,9-10,11-12がステレオ入力チャンネルとなっている。
・EXTインもあるがあまり使わない。サミング時には13-14,15-16として使えるがボリュームノブのみであり、あくまでもサミングの調整用として考えている。
・トークバックとトークバックマイクのリミッターも搭載されているが、全く使わない。
④EQとコンプ
・EQはモノとステレオ全チャンネルに周波数固定の3バンドパラメトリックEQが搭載されている。モノの4チャンネルのみハイとローのEQタイプをベルとシェルビングに変更可能。
・EQは楽器や歌を前提に周波数は上手く設定していると思う。3バンドとも音は大きく変わるが破綻することがない。Qカーブがなだらかなのでポイントで効かせるものではないようだ。
・コンプはモノチャンネルとマスターバスにバスコンプが搭載されている。チャンネルコンプはスレッショルドのみなので細かな設定はできないが、スネアをパコーンとしたいときなど派手に効かせることもできる。原音変化がないような使い方は難しいように思えた。
・バスコンプは有名なSSLの音。王道なVCAタイプのコンプである。マスターバスに挿せるのであまり派手に効かせることはないが、軽く引っかかるようなかけ方でも全体の音が引き締まる。
⑤その他
・実際には使い切れていないが、このコンパクトな機材の全チャンネルにTRSでインサーションを搭載しているのはすごいと思う。ベースや歌のサミング時にアウトボードのEQやコンプを挿したり、マスターバスにコンプやEQを挿して2ミックスを仕上げるなどレコスタの小規模版で作業ができるのは他に替え難い。
・反面バックパネルが煩雑になってしまっているのも事実。今のところ問題は無いが故障のリスクは当然高くなる。
・サミング時のバス数が最大16で実際にはモノ4とステレオ6の10系統なので、もう少し欲しいと思うが、DAW側でグループバスを設定して作業することを考えると、この程度で割り切った方が潔いかもしれないとは思う。慣れてくれば自分の作業パターンを固定できるので作業性も高まる。
⑥インターフェイスとして
・24bit 96kと今となっては低めのスペックではあるが、実際の使用では24bit,48kで使うことが多い。それで特に不満は無いし、音を聴く限りそれなりにハイスペックなコンバーターを使っているように思う。出音も不満はないしヘッドホンアウトも素直でわかりやすい出音である。
⑥要望
・このサイズにこれだけの機能を詰め込んでいるのでこれ以上文句は言えないが、あえて言うならバスコンプにアタック、リリースタイムの設定は欲しかった。まあそれならフルスペックのバスコンプを買えと言われそうだが。
3年使っても満足はしているので、この機材は買ってよかったんだと思っている。マイクプリやコンプなど足りない部分は現在500ランチボックスで補完しているし、複雑な作業をシンプルな作業環境で構築できるのはBIG SIXの最大のメリットだろう。
折角なら30万未満でモノ2、ステレオ6くらいの割り切ったSIXの新バージョンでも開発すればいいんじゃないかと感じている。