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Universal Audio UAFX MAX Dual コンプレッサー

いわずもがなスタジオ名機の1176やLA2Aを販売しているUniversal Audioが出してきたペダルエフェクターである。正確には1176はUREIが作っていたがJBLに吸収され今はなない。かつてUniversal AudioやUREIを立ち上げた1989年に亡くなったBIll Putnumの息子が1989年に復興したのが今のUniversal Audio(以下UA)である。

父親のアナログ遺産を引き継ぎながら、デジタル時代に対応するための新たなテクノロジーとの融合をすすめているのが現在の姿である。

私はかなり前に実機のUREI1178(1176の2ch版)を使っていたのもあり、1176の良さは認知していた。クローンの低価格なクラークテクニック製をその後購入したが、コスパは悪くないが正直そこまでよくなかったので手放したこともある。

UAAPolloも以前使っていて、UNISON技術含めUADのプラグインの良さを実感していたのもあり、UAなら悪くないかと思いちょっと高めであるが入手した。

このペダル、いわゆる1176を似せたEmpressのものなどと全く異なる。

そもそも中身はデジタルエミュレータであり、アナログ回路で構成されている訳ではない。この間UAが力を入れてきたUADの技術を詰め込んだものであるようだ。

さて実際に使用してみるが、まず構成としては2系統のコンプレッサーが使える。

コンプレッサーは3種で、FETの1176、真空管OPTのLA2A、MXRのコンパクトタイプのダイナコンプになる。なぜMXRが入っているのかは不思議(UADにもない)だが、ギターでの使用も含めダイナコンプは定番なのかもしれない。

各々をオンオフできるフットスイッチがあり、2系統ともに前述の3種から選べ、610プリアンプの入力ゲインも設定できる。2系統同じもので設定を変えることも可能だし、ダブルかけも可能である。

ちょっと癖があるのは、基本的に実機と同じパラメーターであること。1176もLA2Aもダイナコンプも独特のパラメーターで、いわゆるスレッショルドという設定がない。

1176はインプット、アウトプット、アタックタイム、リリースタイム、レシオの2つで、レシオは1:4,1:8,1:12,1:20の4つに加え全部押しのALL(全部押しは1178実機でもできた裏技)で設定する。スレッショルド値がないので、インとアウトのバランスでコントロールする。アタック、リリースのノブが普通と逆なので時計周りにすると短くなる。レシオは作りたい音で選択するがオールにすると攻撃的に効く。実際に使ってみたが、プラグイン同様に状態の良い1176の音だと感じた。(実機よりノイズが無いし)

LA2Aのパラメーターも独特でゲインとピークリダクションでコントロールする。

ゲインを上げてピークリダクションを下げるとコンプが強く効く感じ。

アタックタイムやリリースタイムの設定はできず、OPTでもありやや遅めな音。ただ野太い感じになり、歌などでかけ録りに使われる場合が多い。ギターにも厚みを出したりするのにも良く使われる。1176ほどキツイコンプ感を出したくないときなどによく使っていた。

ダイナコンプは正直あまり知らない。これも2つのコントロールのみで、音質的には昔ながらのコンプ(まさにコンプ)という頭がつぶれたような音がでる。

このようにこの1機だけで、3種のコンプが2系統で使えるという優れものだが、悪く言えばズームのマルチでいいじゃんとなる。向こうのほうが安いしもっと幅広く使える。

ただ1176などコンプの質感は雲泥の差がある。正直普通にライブするなら別にこれじゃなくていい、むしろ録りに力を発揮するかと思う。自宅などで録る人が多くなっているのでUADは使えないけど1176やLA2Aが使いたい人にはひとつの回答かもしれない。