統合型ソフトシンセの大御所といえば、Artria、UVI、IK Multimediaになるかと思うが、
Artria Vcollection8、UVI Synth Anthology4、IK Multimedia Syntronik2を所有しているのでこのあたりを比較してみた。どれを買うのか迷っている人の参考になればと思う。。①Artria Vcollection8(今は9)
・ほかの2つと全く違うもの。基本的にサンプルベースではなくエミュレートである。
・1つ1つの機種で最初から実機とほぼ同様に音作りができる。もちろんアナログではないので、デジタルによるエミュレート。
・Fairlight CMIやEmulator、Synclavierのようにサンプリングできる機種は実際にサンプリングで音作りもできる。ボコーダーも実際に声を入れてボコーダーとして使用できる。
・基本は個別の音源を立ち上げるが、プリセット方式なら同梱のAnalog laboで一元管理はできる。(複数のシンセをブラスやパッドなどの用途で比較して選択できる)
・何と言ってもFairlight CMI、EmulatorⅡ、Synclavierという80年代の神機を再現しているものは他に存在しない。しかも実機と同様のシンセシスを楽しめる。ただしビンテージ系が中心になる。
・取扱い鍵盤数が32種でプリセットは14000。通常価は599$です。
②UVI Synth Anthology4
・プリセットサンプル再生タイプであり、実機のシンセシスは搭載していない。アンプやフィルターなどの最も基礎部分のエディットは可能。
・取扱いシンセ数はかなり多い。ビンテージだけでなく新旧入り混じった構成であるため、幅広い活用が可能である。
・音源管理が分かりやすい。2種の異なるシンセをレイヤーで使用できるので、プリセットがもとであっても音作りの幅が広がるのと、ミックスバランスもとれるので好みの音に近づけやすい。操作性はかなりわかりやすい。
・実機のインターフェイス画面ではないので、操作している時のテンションはそんなに上がらないが、良い意味で冷静に判断できる。
・自身でサンプリングなど実機的な音作りはできない。またプライバックサンプラーなので、頻繁に音色を変える時読み込みにタイムラグが発生する場合がある。ただこのあたりはかなりスピーディーに進化してきているので、そこまで気にする必要はない。
・取扱いシンセ数は200でプリセットは4000で価格は通常価149$です。
③IK Multimedia Syntronik2
・基本的なタイプはUVIと似ている。
・プリセットサンプル再生タイプであり、実機のシンセシスは搭載していない。アンプやフィルターなどの最も基礎部分のエディットは可能。エディット時の画面が実機的なインターフェイスなのでちょっとだけテンションはあがるが、実機のような音作りはできない。
・取扱いシンセ数はUVI Synth Anthology4より少なくビンテージ系が中心であるが、それなりにコアなものは押さえている。珍しいとこではPPG、SY99、Microwaveあたりだが、MAXでも33機種で通常版は22種とそこまで多くは無い。
・便利な点は、プリセットサンプラーとして定番のSampletank4の音源として、普通に使えること。Sampletank4を使う感覚でその音源の一部として選択できるので、何もエディットなしで使うにはもってこいかもしれない。
・ただ Synth Anthology4のようにレイヤーでの合成などはできないので、音作りの点では Synth Anthology4のほうに軍配があがると感じた。
・プリセット音色数はMAXが5500以上で通常版が4000以上。価格は通常版129.9€、MAXが199€
さてこの3種からどれを選べばいいのか? 本気でシンセをがっつり突き詰めたいなら迷わずArtria Vcollectionです。サンプラーからFMシンセ、アナログシンセの音作りを基礎からがっつり学べます。価格はそれなりに高いですが、年に1回半額セールがあるのでそれを待つことです。
プリセットとしてサクッとつかうのなら残り2つはどちらでもいいですが、個人的にはSynth Anthology4をおすすめします。なんといってもシンセの種類が多いのと、レイヤーでの使用含めプリセットも秀逸です。
IK系はよくキャンペーンをしているのでSampletankと一緒のセットなどで手に入るなら程度で良いかと思います。
3種持っていますが、正直IKはSampletankしか使ってないので、そこまで必要じゃないかというのが率直な感覚です。